軽自動車はなぜ「走る棺桶」と呼ばれているのか?きちんとした理由があります

日本では都会や地方問わずたくさんの軽自動車が走っています。自宅の周りの駐車場を見渡してもホンダの「N-BOX」であったり、ダイハツの「ムーヴ」やスズキの「ワゴンR」をよく見かけます。燃費が良くて税金も安いし、狭い道路でも取り扱いやすいというのが利点ですが、衝突事故があったとき軽自動車は「走る棺桶」と呼ぶ方がいます。これはなぜでしょうか。

自動車は大きさによって事故時のダメージは異なる

ダンプカーや10トントラックならぶつかっても前がへこんだり、当たり負けすることはありません。しかし運転席の高さが低かったり、ボンネットが座席まで短い普通車や軽自動車は、人へのダメージが通りやすいのが特徴です。

では構造や大きさで似ている「普通車」と「軽自動車」、これら2つに違いはあるのでしょうか。

軽自動車も普通車も丈夫さは変わらない?

自動車の「衝突安全性能」を試験したデータがあります。これによると軽自動車と1500cc以下の普通車では、やはり普通車の方が総合評価が高くなっています。

参考:独立行政法人自動車事故対策機構

平成24年度から平成29年度までの試験車種を、新安全性能総合評価という得点に並べてみると普通車が上位を独占しています。それでは軽自動車との比較が出来ないので、まずは普通車で1500CC以下の「トップ5」を見てみましょう。

新安全性能総合評価トップ5(1500CC以下)

年度 メーカー 車種 新安全性能総合評価
2015 マツダ CX-3 XDTouring 188.2点
2014 マツダ デミオ 13S 185.7点
2014 ホンダ ヴェゼル HYBRID Z 183.7点
2014 ホンダ グレイス HYBRID EX 181.0点
2017 トヨタ ルーミーカスタム(SCA付) 180.3点

これにパッソやカローラフィールダー、フィットやゴルフが続きます。10位のフォルクスワーゲン:ゴルフで176.7点です。

では軽自動車を見てみましょう。トップ5は以下の通りとなっています。

新安全性能総合評価トップ5(軽自動車)

年度 メーカー 車種 新安全性能総合評価
2013 ホンダ N-WGN G・Aパッケージ 178.8点
2016 ダイハツ キャストスタイルG SAII 166.0点
2015 ダイハツ ムーヴカスタムX SAII 165.5点
2017 スズキ ワゴンR HYBRID FX スティングレー 163.0点
2013 日産 デイズ ハイウェイスターX 161.8点

このように数値で見ると普通車1500CC以下第10位の「ゴルフ」で176.7点です。しかしその点数を超えているのは、ホンダのN-WGN(エヌワゴン)のみで、キャスト以下は10点以上下回っています。

2000ccなど排気量の大きい車種も含めると、軽自動車ではほとんどランクインしないのは車の構造上、車体を軽量化しているので仕方が無いことです。しかし160点代でも乗員保護性能や歩行者保護性能は70点以上を獲得している場合がほとんどなので、比較的安全であるといえます。

ちなみに普通車のトップはインプレッサ、次にクラウンハイブリッドが続き、保護性能は乗員・歩行者共に90点を越えています。学校のテストで70点取れれば上出来と考えるか、今一と考えるかはその人次第です。

軽自動車は無茶な運転をする人が少ない?

軽自動車は無茶な運転をする人が、普通車に比べて少ないといわれています。これは普通車に比べて、鉄板が薄くて軽量化されている事の自覚がある為、ぶつかると危険であると分かっていることによる自衛です。

その為、自動車単独での死亡率は普通車の方が高いのですが、相互に衝突で死亡する率では軽自動車の方が1.5倍ほど高くなります。普通車は軽自動車より大きいので、自損する可能性が高いが軽自動車よりも車両同士の衝突では安全性は高いのです。

地方は道が広いから大きい車に乗っている人が多い?

大きい車と言えばクラウン・アルファードや7人・8人・9人乗りといった車があり、乗っている人も多く見かけます。セダン・ステーションワゴンといった車もかなり車幅が広いです。しかしこれらは必ずしも運転がしやすいか、と言われればそうでもなく車内がゆったり乗れるだけで、運転がしにくいのが現状です。

地方・田舎では大きい車でも構わないという方がいますが、道が舗装されていなかったり狭い住宅地に道路が付いているような道もたくさんあります。普通車ですら曲がるのに切り返しが必要で、運転の上手さが問われます。

大きい車に乗れば乗るほど「運転技術が必要」になってきます。曲がれるか、通れるか、止まれるかといった基本はもちろんの事、車体が重いのでスピードが出やすく凶器が走っていると言われるほどです。

年齢を重ねるごとに、定年を迎えてなど大きい自動車から軽自動車に変更する方が多いのは自分でも運転技術に不安が出るからです。確かにぶつかった時の死亡事故が多いのは「軽自動車」ですが、より安全に車間距離を保ち、極力紛らわしい動きをせず(ぶつけられるのを防ぐため)相手を思いやって運転すれば、事故の確率というものは減らせるのです。私も1度事故をしてからは、丁寧な運転を心がけています。