苗字で「熊谷さん」の読み方は様々、名前を間違われる頻度がかなり高い理由とは

例えば山田(ヤマダ)さんや田中(タナカ)さんと書かれていると、まず間違われる方はいないでしょう。しかし熊谷さんと書いていればいくつかのパターンが存在します。なぜ名前の読み方を間違われるのでしょうか、それは名前の歴史と地名それぞれの特徴から分かることがあります。

熊谷の読み方は「くまがや」という場合

埼玉県北部にある市に、埼玉県熊谷市があります。これの読み方は「くまがや」です。JR東日本の管轄の熊谷駅(くまがやえき)もあります。では読み方は「くまがや」が正しいのでしょうか、もう1つを見てみましょう。

熊谷の読み方は「くまがい」という場合

平安時代や鎌倉時代に活躍した武将として「熊谷直実」という人物がいます。正式な読み方は「くまがい なおざね」となり、この時代は「くまがい」と読むことが一般的だったのです。桓武天皇や平貞盛という名前を聞いたことがあるでしょう、その時代です。

この「熊谷」という漢字の最も古いであろうと言われる読み方は「くまがい」ですので「くまがい」の読み方が本来の正しい読み方なのです。では県や市が「くまがや」となっているのはどうしてでしょうか。

1871年に武蔵国北部に県が作られた事が関係しています。その時代になると、「谷」を「や」と読むことが多くなり、熊谷県(くまがやけん)が誕生し、現在の埼玉県熊谷市(くまがやし)が誕生したといわれています。確かに東京都世田谷(せたがや)など、このように読むところは数多くあります。

熊谷の読み方は「ゆうこく」という場合

先ほどの熊谷直実という武将のお墓があるのは、浄土宗の寺院の熊谷寺です。これは「ゆうこくじ」と読みます。このように同じ場所にあっても読み方がいくつか存在するのです。

熊谷は「くまたに」「くまんたに」「くまだに」とも読む?

地域によって様々な読み方があります。訛ったり時代によって読み方が変わる事が多いのです。岡山県阿哲郡熊谷村(あてつぐん、くまたにむら)と読んだり、石川県珠洲市熊谷町(すずし、くまんたに)や、徳島県阿南市熊谷町(あなんし、くまだに)と読む地域もあります。場所を見るとかなり地方ですので、おそらく訛って伝わったものと思われます。

読み方も様々、聞かないと分からない

テニスプレイヤーといえば錦織圭さんが有名ですが、レジェンド級として昔「熊谷一弥(くまがい いちや)」という方がいました。全米選手権でグランドスラムベスト4というのはあまり知られていません。

外国では「くまがい」ではなく「くまがや」と読まれることもあったそうで、やはり読み方は聞かないと分からないものです。昔は「くまがい」が主流で今は「くまがや」が主流だと思っておけば通常は問題ないでしょう。