吉本興業といえば、「明石家さんま」「ダウンタウン」を始めとした国内大手のお笑いプロダクションです。今まで大学での吉本興業の活動と言えば、ライブやイベントでの出演がほとんどでしたが、現在では「学び」に重点を置いて本格的な提携をしています。どのような意図があり、学びの場でお笑いを表現させていくのでしょうか。
吉本興業と提携している大学:近畿大学
同じ関西で活動している近畿大学と吉本興業が、以前から関係はありましたがより綿密な関係として提携しました。
近畿大学(大阪府東大阪市)と吉本興業は、大阪らしい「おもろい」研究や教育、情報発信を共同で展開し、日本のみならず世界に向けてさまざまな価値を創出するべく、包括連携協定を締結しました。
出典:近畿大学と吉本興業が包括連携協定を締結!大阪らしい「おもろい」研究や教育、情報 よしもとニュースセンター
近畿大学広報部長・世耕石弘さんからは、同協定の概要説明が。「実学の教育」という理念のもと、長年、産学連携を行ってきた同学。今回、新たなパートナーとして吉本興業を選んだのは、「吉本さんの笑いを通じた社会貢献と、近畿大学の人に愛され尊敬される人材育成、これが合致した。
「大衆に奉仕をする」吉本興業の社是と、「大衆の大学」を目指している近畿大学で接点があるとのこと。産学連携により、新しい価値をこの世に出したいという思惑があるようです。
「笑いのストレスマネジメントの開発」「大阪の文化『笑い』を軸とした人材育成」など、本格的な両者のメリットが一致しました。近畿大学と言えば、世界で初めての完全養殖に成功したいわゆる「近大マグロ」で有名です。出願数も国内トップクラスで、お互いの影響力は計り知れないものがあります。
吉本興業と提携している大学:立命館アジア太平洋大
吉本興業と提携している大学は他にもあります。留学生の受け入れや国際交流で定評のある、立命館です。これからは国内だけでなく、日本以外の国際的な活動にも吉本興業は力を入れていくそうで、英語での新喜劇の講演など試みは始まっているようです。
吉本興業と立命館アジア太平洋大学(大分県別府市、是永駿学長)が連携協力協定を結んだことが25日、大阪市内で発表された。同大学は83の国と地域から3000人近い留学生を受け入れ、多国籍、多文化環境を生かした人材育成に取り組んできた。吉本興業も「住みますアジアプロジェクト」として、昨年から台湾、タイなど5つの国と地域へ社員と芸人を送り込んでお笑いのグローバル化を進めている。
出典:吉本、立命館アジア太平洋大と連携協力協定 漫才を世界へ発信
日本語の漫才・落語・新喜劇がどこまで通じるのか、英語に翻訳するとニュアンスの伝え方や感じ方も、文化が異なるため変わります。漫画やアニメが海外で成功したようにそこを上手く伝えることが出来れば、海外でも十分日本の「笑い」を上手く届けることは可能ではないでしょうか。
逆に言うと、大学側にもメリットはあります。それは留学生達に日本の文化に触れてもらおうという事です。それでいて更に日本が好きになってくれれば良いですし、自国に伝えたり持っていくことで日本のお笑いを広めることも出来ます。
大学で講演や出前授業を行う
年末の「ガキの使いやあらへんで」でお馴染みの、月亭方正(元山崎邦正)さんが提携している近畿大学で、講演を行いました。就職活動に繋がる内容で、直に話をして伝えられることは学生にとっても勉強になることでしょう。
「緊張したら無理やり笑うんです」。12月下旬、大阪府東大阪市の近畿大。学生約500人を前に落語家の月亭方正さん(48)が就職活動の心構えを説いた。
出典:「笑い」教える大学=出前授業、落語家も―本場で広がる・大阪
笑いをテーマにした授業というものは、大学でも行っているところは多いです。それは心理学や文化として、精神に安定や心にゆとりをもたらすこともあります。「笑う門には福きたる」とはよく言われたもので、笑うことで自分にプラスの良い事を呼び込むことにも繋がるからです。
吉本興業は学校設立に力を入れていく
吉本の学校と言えば通称NSC「吉本総合芸能学院」が有名で、世の中の様々なニーズに対応できる芸能人の育成が行われています。
吉本興業は20日、沖縄県内にエンターテインメントの人材育成を目的とした専門学校を設立すると発表した。ダンスや歌、漫才だけでなく、照明技術や衣装デザインなど裏方として働くため必要な知識を学べる学校を目指す。
場所は沖縄県で、平成30年開講を目指して準備をしているとの事。講師陣も世界で活躍する人物や、スマホ向けのアプリで勉強できるシステムなど、文化とアジアのエンタメ発進として選んだそうです。
NSCのような養成所という意味合いよりは、市民講座や短期プログラムといった幅広い受け入れが出来ることを目指しているそうで、開講が楽しみです。世界に日本らしいお笑いを、どのようにして広げていけるか、吉本興業の挑戦は続きます。