1日の睡眠時間は、体を健康に維持する上でとても重要です。寝不足に陥ると、病気がちになったり仕事や勉強に支障をきたし、居眠り事故やトラブルが増えてきます。では日本人はどれくらい睡眠時間を取って寝ているのでしょうか。また適正な睡眠時間とは何時間なのでしょうか。睡眠を疎かにしていると、とんでもない目にあうかもしれません。
目次
日本人が現在取っている睡眠時間
現在の日本人は毎日どれくらい寝ているのでしょうか、日本人の平均的な睡眠時間を確認します。厚生労働省の統計結果が下記です。
日本人の睡眠時間は年々少なくなっているといわれています。夜遅くまでコンビニが開いていたり、ネットや携帯電話・スマホ・ゲームなど、夜遅くまで何かをしている人が増えたためです。グラフを見ると睡眠時間5時間未満という方が増えており、特に東京都民に限定すると平均睡眠時間は5時間台になっていると指摘する睡眠の専門家がいるほどです。
幼児・小学生・中学生までは「寝る子は育つ」と言われるように、成長するためには「ある一定の睡眠時間」を取る必要があり、65歳以上の定年の方は時間があり、疲れやすいので十分睡眠を取る時間もあります。しかし高校生・大学生・社会人になると学校や職場が遠くなり朝早く起きるため、睡眠時間が短くなります。特に働き盛りの30代・40代は残業や通勤が多くなり、自宅へもって帰ってまで仕事をする方も増えています。
日本人の睡眠時間はかなり差がある
5時間を下回っている方や、5時間から6時間未満という睡眠時間の方が増えています。健康を考えるには野菜や運動はもちろん必要ですが、実は睡眠時間がかなり大事だという事を意識する方が少なくなっています。
では適正な睡眠時間はどのくらいでしょうか?もちろん7時間寝て寝すぎたと感じる人もいれば、7時間で寝不足だと感じる人がいるのは、それぞれの体質や生活環境によって異なります。現在では7時間~8時間が適正だといわれています、その理由については後述します。
きちんと眠れていない?睡眠の種類は2つある
睡眠の質は上がったり下がったりと変化します。それは枕であったり、食事であったり体調など様々ですが主に2種類存在します。
1つ目は「レム睡眠」です。レム睡眠とは、眠りが浅く寝ている途中でもトイレに行きたくなったり、起きてしまったりします。脳も働いていて夢を見るのもレム睡眠の特徴です。このレム睡眠中に起きる(起床する)と、脳を動かしやすい、つまり起きても行動しやすい状態にすぐに移行できます。
2つ目は「ノンレム睡眠」です。これはレム睡眠とは逆で、眠りが深く完全に寝ている状態の事を言います。ストレスを減らしたりするのもこの時間に行なっていて、心拍数なども落ち着いています。疲れが取れない、眠りが浅いというのはこのノンレム睡眠になっていないのが理由です。
寝ていると「金縛り」にあう・・・その原因とは?
現在では、金縛りにあうというのは科学的にはトイレに行きたい、などと同じような生理現象として取り扱われています。金縛りにあっている最中の意識は通常はあります。体の上にのしかかってきたり縛られているように動けないと感じるからです。
金縛りの現象はレム睡眠中の浅い眠りで起こり、睡眠不足やストレスが溜まっているときに起こります。寝ているときは体の筋肉は寝ています、しかし脳は起きている状態なので体を動かせない状態で、これが金縛りの原因と言われています。
夢を見る時はどんなとき?
夢を見る時と見ない時ありますよね。これは、レム睡眠の間だけに起こる現象です。五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)全てで感じることができ、本人の願望に近い夢も見ることがあります。
夢は一般的にストレスが多いときに見るといわれており、怖い夢や悪夢が多かったりします。日本人の20%近くが睡眠障害や不眠といわれている時代で、あまりにも寝付けが酷い場合は医療機関に相談するのもが良いでしょう。
実際に何時間寝ればよいのか?
アメリカ睡眠財団というところで、数百に及ぶ文献や10年の調査で出した分析結果です。これによると、人間は9個の睡眠時間に分けられます。
年齢 | 推奨される睡眠時間 |
新生児~3ヶ月 | 14時間~17時間 |
4ヶ月~11ヶ月 | 12時間~15時間 |
1歳~2歳 | 11時間~14時間 |
3歳~5歳 | 10時間~13時間 |
6歳~13歳 | 9時間~11時間 |
14歳~17歳 | 8時間~10時間 |
18歳~25歳 | 7時間~9時間 |
26歳~64歳 | 7時間~9時間 |
65歳以上 | 7時間~8時間 |
これは現在推奨されている睡眠時間で、実際に何時間と決めて睡眠を取ってみましょう。例えば、7時間~9時間の場合は、その中央値の8時間を取ってみてください。それで寝不足と感じるならもう少し睡眠時間を増やし、寝すぎや余裕があるなら睡眠時間を削ってみて、自分にベストな睡眠時間を計測することです。そうすると、今の自分の生活環境に合ったベストな睡眠時間が算出されるはずです。
きちんと睡眠を取らないと睡眠負債・睡眠障害になる?
睡眠負債という言葉があります。これはレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す良質な睡眠が無く、睡眠不足から睡眠の負債がどんどん蓄積されるというものです。これらが溜まると体にとって悪い影響が起こります。
睡眠負債は、がんの免疫細胞の働きを低下させ、認知症の原因物質が排出されにくくなる可能性がある。さまざまな病気にかかりやすい状態を睡眠不足がつくると、枝川教授は指摘する。
出典:理想の睡眠は7時間!睡眠不足がつづくと「睡眠負債」に がん、認知症、病気の原因に
最も良いのは1時間早く寝て起きてすぐに数十秒の日光浴をする、とのことですが中々行動が取れないのが現代の日本人です。
睡眠障害という言葉があります。これは眠りたいのに寝れなかったり「不眠症」「過眠症」「睡眠時無呼吸症候群」など適切な睡眠を邪魔する症状の事です。
2017年7月アメリカの最新研究で、親がアルツハイマー病だが、自身には認知症がない平均62歳の被検者101人について、睡眠障害の有無と彼らの脳脊髄液中にあるアルツハイマー病に関係が深い物質濃度との関係を調べました。
出典:睡眠障害にはアルツハイマーを招く恐れが…睡眠の質に潜む疾患リスク
アメリカの最新の研究で睡眠障害になった場合、「 前立腺がんや乳がん」「心筋梗塞・脳卒中 」「うつ病」「ナルコレプシー 」「特発性過眠症や反復性過眠症」といった病気を引き起こす原因になるかもしれないというのです。
いまや健康を保つには野菜を取って禁煙し、運動不足を解消するだけではありません。寝る前のスマホやゲームを止めて睡眠時間を確保し、脳に疲れを蓄積しないことを意識することが大事なのです。