映画を見るときにタイトルはかなり重要です。なぜならタイトルだけで大まかな映画の内容が分かるからです。興味をそそられたり、不思議に思って気になったりと、それだけ「タイトル付け」は慎重に決められます。日本の邦画では、ニュアンスが伝えやすいですがアメリカといった洋画では、そのまま英語で表現すると「分かりにくい」と言われます。その為、国内放映用に「邦題」が付けられるのですが、それが変な方向に向かっていく場合もあります。
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邦題とはそもそも何か?誰が付けるの?
邦題とは映画だけに留まらず、書籍や音楽の楽曲が「日本語以外」で表されているものを日本語に付け直すものです。ここで言う日本語以外とは「英語・中国語・スペイン語・アラビア語・ロシア語」といった多くの言語の事を指します。
これらを日本人でも分かりやすいように日本語に付け直しているのは「配給会社」です。担当者・宣伝マンが考えて、日本で売りに出します。タイトル1つで売上が大きく変わるので、ひらめきやセンスが問われます。すぐに思いついたり、何週間・何ヶ月もかかる場合もあります。
「The A team」という映画がありますが、邦題は有名な「特攻野郎Aチーム」という分かりやすいセンスあるタイトルです。他にも「SISTER ACT」は「天使にラブソングを…」だったり、「The Legend of 1900」が「海の上のピアニスト」など付けた人は天才です。
ジュラシックワールドの邦題が不評?
2018年にジュラシックパークシリーズの新作が公開となりました。その名も「ジュラシック・ワールド/炎の王国」です。原題は「Jurassic World Fallen Kingdom」となっており、この「Fallen Kingdom」が「炎の王国」と付け直されているのです。
ファンからは「今後ずっと続くものだから、変な邦題を付けないで欲しい」という意見が多く上がっています。子供でも分かりますがKingdom(キングダム)は王国で問題ありません、もう1つの「Fallen」が問題なのです。
「Fallen」は「fall」の過去分詞で、「落ちた・墜落した・落下した」という意味になります。ということは、このようなタイトルにするのが通常です。
・落ちた王国
・堕落した王国
・落下した王国
ではなぜ、炎の王国としたのでしょうか。それには単純な理由があると推測できます。
映画でネガティブなイメージはご法度
映画館へ見に行くときに、みなさん期待をこめてドキドキしながら見にいきます。それはどんな映画か楽しみであり、タイトルを見て疑問に思ってついつい足を運んでしまうからです。
しかしタイトルがネガティブ表現だとどうでしょうか。例えばポケモンやディズニーで考えてみましょう。
・ポケットモンスター 怠惰な日常
・ディズニー 明日が見えない暗い過去
積極的に家族や子供と見にいきたいと思いますか?つまりはそういうことです。正確に訳すと暗いイメージがあるため、それを少しでも明るく前向きにする為に変更されているのです。
邦題は納得あるタイトルに変更すれば違和感が無い
しかし全く見当ハズレの邦題ですと、観た後にお客さんがガッカリします。その為、中身を見て「なるほど」という邦題を付けなければいけないのです。
先ほどのジュラシックワールドがなぜ「炎の王国」となっているのでしょうか。答えは映画の中で「イスラ・ヌブラル島の火山の大噴火」があるから、王国が火に包まれる、「炎の王国」と名付けたのです。「Fallen Kingdom」の「Fallen」は華麗にスルーです。
つまり公開前に「変なタイトル」と思うのは、そのストーリーを知らないからであり、観た後では「納得」できる場合が多いのです。
中にはおかしな邦題で本国から注文がくることもある
邦題を付ける担当者によっては、名題になったり迷題になったり変化します。あまりに酷い場合は、本国の配給元から条件や文句が入ることもあります。「勝手におかしなタイトルを付けないでほしい」「このイメージを守って付けて欲しい」といったものです。
ワーナー・ブラザースの「キング・アーサー」という映画があります。これは当初は「キング・アーサー 聖剣無双」という邦題でしたが、本国から要請があったようで「キング・アーサー」に変更になりました。これは邦題が良くなかったという典型です。
変に付けると揉めそうな場合や、どうしても思いつかない、またはヘタに付けるよりもマシだな、と思う場合があります。それは英語をそのまま「カタカナ表記」で邦題を付けるということです。実際に映画を観た後で、それでも邦題がおかしいと思う場合は「邦題にセンスがない」と堂々と言いましょう。