知らなかった、白い杖は「全盲の人」が持つとは限らないという事を・・・

道を歩いていると「点字ブロック」という黄色いデコボコしたものが地面に設置されています。音を鳴らしながら白い杖を持って歩いている方、盲導犬と一緒に歩いている方がいます。これらは目が見えない全盲の障害者の方とばかり思っていたのですが、実はある程度見える人でも持っている場合があるというのです。

全盲とは目が失明状態にある人の事

全盲とは両目が「失明」状態にある人の事を言います。全盲のピアニストとして有名な「辻井伸行」さんが話題になりました、コンクールで優勝するほどの天才です。

全盲は「視覚障害者」というカテゴリに属しており、今では支援する学校やカウンセラーも存在します。そのような方の仕事としては、手の感覚で感じ取る「マッサージや鍼灸」が主流でありましたがパソコンが普及するにつれコンピュータを使った仕事も認知されつつあります。

白い杖の意味とは「視覚障害者」が安全に歩けるための杖

元々は海外で考案され、警察官の夫人が警棒からヒントを得て現在の形になったという説があります。白い杖は白杖(はくじょう)と言い、視覚障害者が持つ杖です。

安全の確保や道路の形状といった情報の収集、他の歩行者等への注意を促す役目があります。ここで重要な知っておかなければいけないことは、白い杖を持っている方は必ずしも「全盲」とは限らないという事です。

道路交通法「第十四条」ではこのように記載があります。

(目が見えない者、幼児、高齢者等の保護)
第十四条  目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。

出典:道路交通法 電子政府の総合窓口e-Gov

なお目が正常に見える健常者が政令で定める白杖を持ったり、盲導犬を連れて歩くことは法律で禁止されています。白い杖を持つためには「眼科」へ行って身体障害者手帳の診断書を書いてもらいます、そして役所の福祉課で申請をする必要があります。

白い杖を持ちながらスマートフォンを操作する

電車を待っているとき健常者の方は椅子に座ってスマホを操作する、ということは頻繁にあります。しかし白い杖を持っている方も同じように、スマホを操作しています。そうです、見えている方でも白い杖を持つことが出来るのです。

電車の中で隣に立っている人が話しかけてきた。「目がご不自由なのに、すごいですね」そう言われてドキッとした。折りたたみの白杖を伸ばしたまま、携帯電話でメールを書いていたのだ。いつもは白杖をカバンに入れてから、携帯電話でメールを書いたり読んだりしているが、そのときはぼんやりしていて、白杖を持っていることを忘れていた。「少し見えるんですよ」と説明すると、「白い杖をお持ちなので、全く見えないのかと思いました」と言われた。

出典:日本障害者リハビリテーション協会 情報センター

このように白い杖を持っているイコール全盲の方、という考えが一部で浸透しています。見えているが一部しか見えない、といった方もいるということは覚えておかなくてはなりません。


出典:社会福祉法人 京都ライトハウス

このように代表的な視覚障害にはいくつかの種類があります。「ぼんやり」しているのは近視の方には分かりやすい例でしょう。「見える範囲が狭い」のと「中心が見えない」のは全く見えないことではなく、一部は正常に見えています。ということは、携帯電話を見ることも可能なわけです。

弱視とは補正しきれない視力の方

視覚障害者という括りには、「全盲」の方以外にも「弱視」といった方が存在し、その数はかなり多いとされています。日本人は近視の方が多いですが、眼鏡やコンタクトレンズを装着して、1.0とか1.5といった視力にして生活されています。

しかし弱視とはそれらの補正をしても対応しきれない視力の方をいいます。眼鏡やコンタクトをしている方、それを外して0.1程の視力で外へ行く事を考えてみてください。どれだけ怖いかは容易に想像できるでしょう。

なぜ音を鳴らして歩く必要があるのか

カタカタと音を立てて白い杖上下に揺らしながら、歩いている視覚障害者の方がいます。これは、周りに自分が歩いているということを知ってもらうため、です。今では前を見ずにスマホを見ながら歩いている方もいます、そういう方でもヘッドフォンをしていない限り音には敏感です。音を出すことで気付いてもらえる可能性があるからです。

一部の心無い方から「うるさい」と怒鳴られた方がいると聞きます。確かに健常者の方が地面を叩きながら歩いていればそうなのかもしれませんが、視覚障害者の方は知ってもらう為に音を出しています。

人ごみの中でも知ってもらうために音を出さなくてはならないのです。見かけたら理解を示してあげ、配慮することを忘れないようにしてあげてください。

まとめ:人に優しい社会へ

白い杖は全盲・弱視の方など視覚障害者の様々な方が存在します。駅でスマホを見ていたり、時刻表や料金表を見たり、ブックオフで本を立ち読みしていたり、遠くの方に呼ばれて手を振ることが可能な方もいます。

一部では白い杖を持ちスマホを見ていて「うそつき!」と怒鳴られた視覚障害者の方もいると聞きました、それはその人が無知なだけであり前を向いて歩こうとする障害者の方を侮辱する行為ですので、絶対に言ってはなりません。

障害者や健常者共に住みやすい、相手を思いやる心が日本にもっと広がることを願ってまとめたいと思います。