「傘」と「雨がっぱ」と自転車事故の関係について

2015年6月1日に改正道路交通法が施行されてから、自転車を運転する人には様々な影響が起こっています。今までは傘を差して自転車を運転する方が多かったのが、雨がっぱを着て運転する方のほうがドンドンと増えていっているというのです。カッパの売れ行きは例年の数倍とのこと、どういった事が背景にあるのでしょうか。

最近の自転車事故事情

自転車での事故は1年を通して多く、様々な問題になっています。特に全国では東京都内での交通事故における、自転車事故の割合が異常に多いです。
20150805-1
出典:交通事故全体に占める自転車関与事故の割合が高い 警視庁

交通事故全体に占める自転車関与事故の割合を示す「自転車関与率」は、全国が20%前後で推移しているのに対し、都内では36%前後で推移しています。

都内での交通事故は、自転車による事故の割合がかなり高いことが分かります。大都市圏では歩いている人や車も多く、その隙間を自転車が通過するので衝突事故が多いのでしょう。田舎の場合は、人や自動車も少なく見通しの良い道路が多いのに加え、道幅が広いのでぶつかることは都会ほど多くありません。その代わり、信号が少なかったり、ミラーの設置が少ないカーブがあったりで、曲がるときは一旦停止しないと怖い場所が多いです。

都内における自転車乗用中の交通事故当事者を年齢層別に見ると、全国と比較して20歳代~40歳代の割合が特に高く、この年齢層だけで全体の約53%を占めています。

意外にもお年寄りより、若い年齢層の事故が多いとのこと。65歳以上~100歳位までで20,760件起こっているが、高校生だけで16,434件起こっていて、年寄りに引けを取らない。ただし都内などの大都市圏では、20歳~39歳までの事故が圧倒的に多い、これは仕事で通勤する社会人が多いことからこの数字が出ているのではないだろうか。

自転車事故で亡くなる方は年間500人以上

20150805-2
出典:交通事故死傷者に占める自転車乗用中死傷者の割合が高い 警視庁

警視庁のデータを見ると年間の自転車でなくなられるかたは約500人以上。1ヶ月辺り45人、1日で1人~2人が事故で亡くなっている計算になる。負傷者は年間100,000人を超えていて、1日で300人前後の人が何らかの自転車事故に遭っていることがわかる。

最近では自転車保険なるものも登場し、学生が衝突し重度の後遺症を与え9,000万円以上の損害賠償判決が出た例もある。1日300人が事故に巻き込まれるわけだから、こういった訴訟が起こるケースも納得できる。

年間数千円から高くても1万までで、賠償責任を補償してくれる内容がほとんどだ。今まではバイクや自動車での保険の話題が多かったが、最近は事情が異なってきた。

地域別に見ると、東京が突出して多いというわけではない

20150805-3
出典:インフォグラフィックで見る都市別自転車事故詳細データ 毎日新聞

毎日新聞が作成した統計データによると、東京圏で多いのは当然として、大阪近辺が特に多いことが分かる。

1位は草加市(埼玉県南東部に位置する)
2位は戸田市(埼玉県南部に位置する)
3位は高松市(香川県の中央付近)
4位は台東区(東京都特別区の1つで、23区東部)
5位は東大阪市(大阪府中河内地域に位置する)
6位は岡山市(岡山県の県庁所在地)
7位は佐賀市(佐賀県の県庁所在地)
8位は大阪市(大阪府の県庁所在地)
9位は前橋市(群馬県の中南部に位置する)
10位は加古川市(兵庫県の東播磨地方に位置する)

これら上位地域は自転車事故ワーストの常連である。東京や大阪で事故が多いのは分かるが、佐賀・群馬・香川などは人が大都市よりかなり少ないにもかかわらず上位にきている、これには原因があり、大都市と事故の内容が異なっている。

大都市:自転車が交通に多く使用されているので、事故が多い
中核都市:自転車は少ないが道路が整備されていなく、通り方に問題のある地域

このように同じ事故でも、人口の大小で内容が異なってくる。

違反行為とはどういう行為を指すか

警視庁の広報ページを見てみると下記に該当するものが、事故の大きな原因となるため違反となるとのこと。

出典:広報 警視庁

・ 飲酒運転
・ 信号無視
・ 一時不停止(一時停止標識がある場所では、必ず止まらなければなりません
・ 遮断踏切立入り
・ 車道の右側通行
・ 携帯電話使用運転(運転しながら携帯電話を手に持って通話したり、メールをしたりする行為)
・ 傘差し運転(傘を差す、物を持つなどの行為で視野を妨げたり、安定を失ったりするような方法での運転)
・ イヤホーン等使用運転
・ 夜間の無灯火運転
・ ブレーキ不良自転車運転
・ 2人乗り運転(ただし、16歳以上の運転者が幼児用座席に6歳未満の幼児を乗車させることはできます)
・ 並進通行(「並進可」の標識がある道路では2台までに限り並んで通行できます)
・ 歩道での歩行者妨害(歩行者の通行を妨げるときは、一時停止しなければなりません)

上記にあげる行為は、全て罰金がある違反です。自転車を乗る際には自動車やバイクのように免許制ではないので、意外に知られていない違反があるのではないでしょうか。

特に今まで違反者が多かった事案の対策は以下になります。

・携帯電話・スマトフォン(スマホ)やメール・ネットを使う際は、降りて止めてから使うようにすること
・雨が降っている場合は、傘を差さずに、雨ガッパ(カッパ)を着用する
・雨の際は、出来る限り車や電車・バスを代用し、歩いて傘を使う
音楽は聞かない、聞きたければ電車や車で聞く

他の方も利用する場所として、人間らしいマナーを忘れなければ特にトラブルになることは多くありません。走行する際は無茶な運転は避け、相手を思いやる走らせ方をすることが大事ではないでしょうか。